声明・決議まど
憲法96条の改定に反対する。憲法の精神と原理を守り、活かそう
(長文のため冒頭部分、末尾部分を割愛)
改憲規定を定めた憲法96条は国会総議員の3分の2の賛成を発議の条件とし、その後の国民投投票の過半数の賛成をもって憲法改正が出来ることを定めている。いま、9条改憲を目論む自民党や日本維新の会、みんなの党は、この発議要件を過半数とし、改憲のハードルを下げようと96条改憲を参院選の争点にしようとしている。
しかし、憲法改正の発議要件の緩和はときの政権の恣意によって、いつでも憲法の中身を簡単に変えやすくし、議会多数派の横暴に道を開くことになる。憲法96条は、こうした権力の横暴に歯止めをかけ、国民が権力の横暴を縛る近代立憲主義の精神と原理を担保するものである。
「改憲」を立党の目的としてきた自民党が昨年4月決定・公表した「日本国憲法改正草案」は、天皇元首化、9条の平和主義の否定のみならず、国民主権、基本的人権を制約するもので、憲法の原理そのものを破壊する内容である。
私たちが言論、報道、表現活動に携わるものとして見過ごせないのは、憲法21条に新たに「公益と公の秩序を害する活動や結社は認められない」を追加し、ときの権力、政権によって言論表現の弾圧を可能にするものに変えようとしていることである。
こうした背景のもとで、改憲発議要件を先行して緩和を図る今回の自民党・安倍政権の96条先行改憲の動きは、極めて危険かつ欺瞞的な策動と言わざるを得ない。私たちはこの策動に反対し第9条をはじめとする日本国憲法の精神とその原理を守り、強めるため、あらゆる場で取り組むことを改めて宣言する。
2013年5月13日 日本ジャーナリスト会議